今回ご紹介するのは、当店でも人気の高いドーメル「アマデウス365」でお仕立てしたオーダースーツです。

お客様が当店でスーツをオーダーされるのは、今回が初めてでした。ただし、これまでもスーツは普段からオーダーされており、特にイタリアのロロ・ピアーナの生地を好んで選ばれていたそうです。
完成したスーツに袖を通していただいた際には、仕上がりを気に入ってくださったご様子で、安心しました。
その一方で、これまで着てこられたスーツとは、どこか違う印象も感じていらっしゃるようでした。
同じスーツでも、生地の国によって印象は変わるのか
スーツの印象は、生地の原産国だけで決まるものではありません。

使用する原料や糸、生地の織り方、仕上げ、重さ、そしてスーツの型紙や縫製によっても大きく変わります。
ただし、イタリア生地とイギリス生地には、それぞれに見られる一般的な傾向があります。
イタリア生地は、柔らかな手触りや滑らかなドレープ、華やかな光沢を備えたものが多く、軽やかでスタイリッシュな印象になりやすい生地です。

一方のイギリス生地は、比較的しっかりとした厚みやハリ・コシを持つものが多く、スーツの輪郭を端正に見せてくれます。華やかさというよりも、落ち着きや重厚感、威厳を感じさせる生地といえるでしょう。

もちろん、すべての生地がこの特徴に当てはまるわけではありません。しかし、普段からスーツをオーダーされている方ほど、袖を通した瞬間の感触や、鏡に映ったときの佇まいから、その違いを敏感に感じ取られることがあります。
フランスの感性と英国のものづくりを持つドーメル
ドーメルはフランス・パリを背景に持つ生地ブランドですが、その歴史は1842年、英国生地をフランスへ紹介することから始まりました。
今回使用したアマデウス365も、英国のミルで織られている生地です。
ドーメル公式サイトでは、アマデウス365について、純毛のコンパクトヤーンを使用し、英国のミルで緻密に織り上げられた、年間を通して着用しやすい軽量なスーツ地と説明されています。

英国生地らしい端正さを持ちながら、柔らかな手触りや自然な伸縮性も備えていることが、アマデウス365の魅力です。
ロロ・ピアーナとは異なる、端正で力強い表情
今回のスーツは、落ち着いたチャコールグレーを選んでいただきました。

生地が持つ適度なハリによって肩や胸まわりの輪郭が整い、スーツ全体に端正で力強い表情が生まれています。
そこにオレンジを基調としたストライプタイを合わせることで、落ち着きの中にも印象的なVゾーンとなりました。

お客様が感じられた違いには、当店と他店との型紙や仕立て方の違いも含まれていると思います。
それでも、これまで好まれてきたイタリア生地の柔らかく華やかな雰囲気と、今回の英国で織られた生地が持つハリや端正さの違いも、仕上がりの印象に表れていたのではないでしょうか。
大切な場面で信頼感を伝える勝負スーツ
イタリア生地とイギリス生地のどちらが優れている、ということではありません。
柔らかさや軽やかさ、洗練された華やかさを求めるのであれば、イタリア生地が候補になります。
一方で、落ち着きや信頼感、堂々とした佇まいを大切にしたい場合は、イギリス生地の魅力が生きてきます。
今回の一着は、大切な打ち合わせや会議など、ご自身の印象をしっかりと伝えたい場面にふさわしいスーツに仕上がりました。

ぜひ「ここぞ」という日の勝負スーツとして、長くご愛用いただければと思います。
当店では、お客様の好みだけでなく、スーツを着用する場面や相手に与えたい印象も伺いながら、生地をご提案しています。
イタリア生地とイギリス生地の違いを実際に比較したい方も、お気軽にご相談ください。