
カノニコの「モンテカルロ」は、ざっくりとした織りの表情と、春夏らしい通気性を兼ね備えた人気のジャケット生地です。
使われているのは、細さだけを追求しない21マイクロンのウール。立体的なホップサック織りによって、生地にほどよい張りとドライな手触りが生まれます。無地でも単調に見えず、近くで見るほど織りの奥行きを感じられることも魅力です。
今回は、モンテカルロの特徴や着用に向く季節、色の選び方を解説しながら、以前TSP.2022でお仕立てしたライトグレーのダブルスーツもご紹介します。
この記事について
TSP.2022では、VITALE BARBERIS CANONICO主催の「VBC FABRIC ACADEMY」を受講・修了しています。本記事は、研修で学んだ生地知識と、実際に生地を扱い、お客様へご提案してきた経験をもとに作成しています。

目次
カノニコ「モンテカルロ」とは?
モンテカルロは、イタリアの老舗ミル、VITALE BARBERIS CANONICO(ヴィターレ・バルベリス・カノニコ)が展開するジャケット向けの生地です。
カノニコ公式では、モンテカルロについて次の特徴が紹介されています。
- 21マイクロンのウールを使用。
- 立体的なホップサック織り。
- 目付は280g。
- シワになりにくく、通気性に優れる。
- 全54色のカラーバリエーション。
- 真夏のジャケットに適し、裏地の選び方によって合服にも使いやすい。
「280g」と聞くと、春夏用としては重く感じる方もいるかもしれません。しかし、涼しさは生地の重さだけで決まるものではありません。モンテカルロは、糸と糸の間に空間が生まれるホップサック織りによって風を通しやすくしながら、仕立て映えに必要な張りも残しています。
軽さだけを追い求めず、涼しさと立体的なシルエットを両立している点が、モンテカルロらしさです。
参考:VITALE BARBERIS CANONICO公式「21マイクロン」
21マイクロンは「細いウール」という意味ではない
マイクロンは、ウール繊維の太さを表す単位です。数字が小さいほど繊維は細くなりますが、モンテカルロに使われる21マイクロンは、繊細さだけを優先した細いウールではありません。
比較的しっかりとしたウールを使うことで、ドライな手触り、張り、シワへの強さ、耐久性につなげています。柔らかく滑らかな生地とは異なり、触れたときに少しざらりとした感覚がありますが、それはモンテカルロの欠点ではなく、春夏の装いに合う清涼感と立体感を生む個性です。

ホップサック織りが生む、無地以上の表情
ホップサックは、複数の糸を組み合わせ、籠のような組織に織り上げる方法です。一般的な平織りよりも表面に凹凸が現れ、無地の生地でも光の当たり方によって豊かな表情が生まれます。

今回の拡大写真を見ると、細かな糸が立体的に交差していることが分かります。遠目には端正な無地、近くでは奥行きのある織り柄として見えるため、派手な柄を使わずに個性を出したい方にも適しています。
色によって変わる、モンテカルロの印象

同じモンテカルロでも、色が変わると仕上がりの印象や使いやすい場面が大きく変わります。生地見本だけで決めるのではなく、着用する場面や手持ちの服まで考えて選ぶことが大切です。
ネイビー|最初の一着に選びやすい定番色
ネイビーは、ビジネスから休日まで使いやすく、モンテカルロの立体的な織りも自然に見せられる色です。グレーのスラックス、ベージュのチノパン、白いパンツなど幅広いボトムスと合わせられます。
まずは単品ジャケットとして着回したい方には、最もご提案しやすい色です。
ネイビーの仕立てとコーディネートは、カノニコ「モンテカルロ」のネイビージャケットでつくる春夏コーデでも詳しくご紹介しています。
ライトブルー|春夏らしい清涼感を楽しむ色
ライトブルーは、ホップサックの陰影が柔らかく現れ、春夏らしい軽快さを出しやすい色です。白やライトグレーのパンツと合わせれば爽やかに、ネイビーのパンツと合わせれば全体を引き締められます。
ビジネス一辺倒ではなく、会食や休日にも着られるジャケットを求める方に向いています。
ベージュ|柔らかく、余裕のある雰囲気に
ベージュは、モンテカルロの乾いた質感と相性がよく、リネンとは異なる上品なリラックス感を作れます。白シャツやサックスブルーのシャツ、ブラウン系の靴とも好相性です。
ネイビーやグレーをすでに持っていて、次の一着で変化をつけたい方にもおすすめです。
ライトグレー|都会的で端正なスーツスタイルに
ライトグレーは明るく軽快でありながら、白に近い色よりも落ち着きがあります。ジャケット単品はもちろん、上下で仕立てると、春夏らしい華やかさを備えたスーツになります。
淡い色は全体がぼやけて見えることもあるため、ネイビーのネクタイや濃色のボタンを取り入れ、要所を引き締めるのがポイントです。
ライトグレーのモンテカルロをダブルスーツに

こちらは、以前TSP.2022でお仕立てしたライトグレーのダブルブレステッドスーツです。
ピークドラペルと6つボタンのクラシックな構成に、濃色のボタンを合わせました。モンテカルロの張りがジャケットの輪郭を支え、淡い色でも立体感のある仕上がりになっています。
トラウザーズはベルトレス仕様とし、裾はダブルに。ネイビーの小紋柄ネクタイと同柄のポケットチーフを合わせることで、ライトグレーの軽さを残しながらVゾーンを引き締めています。

生地の織り、ラペルの陰影、濃色ボタンのコントラスト。柄を多用しなくても、素材と仕立てによって十分な存在感を作れることが分かる一着です。

ジャケット向けの生地をスーツで仕立ててもよい?
モンテカルロは、カノニコ公式でも「モンテカルロ・ジャケット」と位置づけられている生地です。そのため、最も取り入れやすいのは単品ジャケットです。
一方で、今回のように上下を同じ生地で仕立てれば、一般的なスーツ地にはない通気性と表情を楽しめます。ただし、スラックスはジャケットよりも摩擦や屈伸の影響を受けやすいため、毎日の仕事着として酷使するより、着用場面を選んで楽しむ一着として考えるのがおすすめです。
「ジャケットとして着回したいのか」「スーツとして印象的に見せたいのか」によって、適した色や仕立ては変わります。スーツでの仕立て例は、カノニコ「モンテカルロ」で仕立てるメッシュスーツでもご覧いただけます。
モンテカルロはいつ着る生地?
基本となるのは春夏です。通気性が高く、ドライな手触りのため、気温が上がる時期のジャケットに適しています。
ただし、モンテカルロを着れば日本の猛暑でも暑さを感じない、というわけではありません。シャツ一枚より涼しくなる生地ではなく、あくまで「きちんとジャケットを着る必要がある場面で、熱を逃がしやすい選択肢」と考えるのが現実的です。
盛夏を中心に着るなら、背中の裏地を省いた半裏仕立てなど、通気性を活かす仕様が候補になります。春先から秋口まで長く使いたい場合は、総裏を含め、着用時期に合わせて裏地の付け方を検討します。
モンテカルロはこんな方におすすめです
- 春夏でも、きちんとジャケットを着る機会がある方。
- 無地の使いやすさと、生地らしい表情の両方を求める方。
- 柔らかすぎず、輪郭の出るジャケットが好きな方。
- シワになりにくい生地を探している方。
- ネイビーやグレー以外の色にも挑戦したい方。
- 単品ジャケットだけでなく、個性のある春夏スーツを検討している方。
色は、生地見本を肩に当てて選ぶ
生地の色は、小さな見本で見る場合と、服として大きな面積になった場合で印象が変わります。さらに、店内照明と自然光でも見え方は異なります。
TSP.2022では、用途や手持ちの服を伺いながら、生地を肩に当てて顔映りまで確認します。定番のネイビーから、ライトブルー、ベージュ、ライトグレーまで、色の違いを実物で見比べながらお選びください。
メンズオーダースーツは税込63,800円から、ダブルブレステッドスーツは税込69,300円から承っています。モンテカルロの価格と在庫状況は、生地や仕様によって異なるため、ご来店時にご案内します。
千葉店はJR千葉駅より徒歩7分、京成千葉中央駅より徒歩6分。六本木サロンは六本木駅より徒歩7分です。どちらも、一組ずつゆっくりご相談いただける完全予約制です。
よくある質問
カノニコのモンテカルロは夏用ですか?
基本的には春夏向けです。ホップサック織りによる通気性が特徴で、カノニコ公式でも真夏のジャケットに適した生地とされています。裏地の選び方によっては、春や秋の合服としても使いやすくなります。
21マイクロンは高級な細番手ウールですか?
21マイクロンは、繊細さだけを追求した細いウールではありません。比較的しっかりとしたウールを使うことで、ドライな手触り、張り、耐久性、シワへの強さにつなげています。
モンテカルロはスーツにも使えますか?
本来はジャケット向けですが、スーツとして仕立てることもできます。スラックスは摩擦の影響を受けやすいため、着用頻度や用途を確認したうえで選ぶことをおすすめします。
仕事で使いやすい色はどれですか?
最も使いやすいのはネイビーです。グレーも端正な印象にまとまります。ライトブルーやベージュは、ビジネスカジュアルや休日まで含めて楽しみたい方に向いています。
まとめ
カノニコのモンテカルロは、単に薄く軽いだけの春夏生地ではありません。21マイクロンのウールが生む張りとドライな手触り、ホップサックの通気性と立体感を組み合わせた、仕立て映えするジャケット生地です。
定番のネイビー、爽やかなライトブルー、柔らかなベージュ、都会的なライトグレー。同じ生地でも、色と仕立て方によって印象は大きく変わります。
TSP.2022では、VBC FABRIC ACADEMYで得た知識と、実際の仕立て経験をもとに、着用目的まで考えた一着をご提案します。モンテカルロが気になっている方は、ぜひ実物の色と質感を店頭でお確かめください。