ブルーグレーは、なぜこんなにも美しいのか

──主張しない色が、大人の装いを完成させる理由

スーツの色選びで
「ネイビーは少し堅い」
「グレーだと物足りない」
そんな声をよく耳にします。

そこで、近年じわじわと支持を集めているのが
ブルーグレー という色です。

当店のウェブサイトでも、
実は「ブルーグレースーツ」という検索キーワードからの流入が増えています。

それは偶然ではありません。
ブルーグレーには、他の色にはない “静かな魅力” があるからです。


ブルーグレーは「目立たない」のではなく「騒がない」

ブルーグレーは、
青と灰色のちょうど中間にある色です。

・ネイビーほどコントラストが強くない
・グレーほど無機質でもない

そのため、色そのものが主張しすぎることがありません。

しかし不思議なことに、
着ている人の雰囲気はきちんと引き立ててくれる。

これはブルーグレーが
「目立つ色」ではなく「騒がない色」 だからだと考えています。


静かな色は、素材と仕立てを映す

ブルーグレーのもうひとつの魅力は、
素材感や仕立ての良さがそのまま表に出る という点です。

例えば、

・フランネルの柔らかさ
・ウールの自然な光沢
・立体的なシルエット

こうした要素は、
濃すぎる色だと沈み、
明るすぎる色だと散ってしまいます。

ブルーグレーは、
それらを 静かに、しかし確実に浮かび上がらせてくれる色 です。


なぜ大人になるほどブルーグレーが似合うのか

若い頃は、
はっきりした色や分かりやすいコントラストが似合います。

一方で年齢を重ねると、

・色で主張しなくても良くなる
・シルエットや雰囲気が前に出てくる
・「ちょうどいい」が分かるようになる

ブルーグレーは、
そうした 大人の余白 を受け止めてくれる色です。

「これくらいでいい」
そう思える感覚と、とても相性が良いのです。


コーディネートを受け止める懐の深さ

ブルーグレーのスーツは、
合わせるアイテムの幅が非常に広いのも特徴です。

・ブラウンのネクタイ
・ボルドーやグリーン
・白シャツはもちろん、淡いブルーや生成り

どれも、強くぶつかることなく自然に馴染みます。

静かな色だからこそ、
周りの色を引き立てる余白がある のです。


「派手さ」より「長く着られる一着」を

流行色や強い色は、
一瞬で印象を作ってくれます。

しかし、
何年も着続けたくなるスーツは、
たいてい静かな色をしています。

ブルーグレーは、
その代表格と言っても良いかもしれません。

派手ではない。
でも、確実に美しい。

そんな一着を探している方には、
ぜひ一度ブルーグレーのスーツをおすすめしたいと思います。