生地をご覧になっていたとき、
お客様がふと、

「これ、アルマーニっぽい?」

とおっしゃいました。

こちらから何か説明する前の、
その一言がとても印象に残っています。

もちろん、アルマーニの生地というわけではありません。
使用しているのは、イタリアのカノニコ。

でも、
無地のようで無地じゃない感じや、
色や柄ではなく“雰囲気”で見せるところが、
どこかアルマーニのソフトスーツを思わせたようです。


無地に見えるけど、近くで見ると違う

遠目で見ると、
正直ほとんど無地に見えると思います。

ネイビーともチャコールとも言い切れない、
少し曖昧で落ち着いた色味。

ですが近くで見ると、
バスケット織のような、
でも本当のバスケット織ではないような、
細かな凹凸と立体感があります。

柄、というほど主張はしないのに、
普通の無地とはどこか違う。

お客様が「っぽい」と感じられたのは、
この辺りだったのかもしれません。


いわゆる“ソフトスーツ調”

この生地で仕立てたスーツは、
いかにもビジネス、という雰囲気だけではありません。


着たときに身体に沿って、すとんと自然に落ちる感じ。

そのため、

  • ネクタイを締めても堅く見えすぎない
  • ジャケット単品でも使いやすい
  • でもラフになりすぎない

そんなバランスになります。

「ソフトスーツ調」という言葉が、
しっくりくる仕上がりです。


アルマーニ好きなお客様が選ばれた理由

今回のお客様は、
アルマーニのスーツを長く着てこられた方でした。

何着かお仕立ていただいた中でも、
この生地のスーツは、
特にご満足いただけた一着。

派手な生地ではありませんし、
分かりやすい特徴があるわけでもありません。

それでも、
「着ると、なんかいい」
そう感じていただけたのだと思います。


派手じゃない。でも、ちゃんと違う

このスーツの良さは、
一目で分かるタイプではありません。

着たとき、
動いたとき、
光が当たったときに、
少しずつ伝わってくる。

アルマーニ“そのもの”ではありませんが、
アルマーニっぽい空気感を、
オーダースーツで楽しむ。

そんな選び方をされる方が増えてきているのも、
少し分かる気がします。